国内居住の外国国籍の方からはパスポートコピーをいただいてはいけない
結論から書くと、ホテルが国内在住の外国人の宿泊者に、パスポートのコピーを求めるのはアレ。私はしないし、しているスタッフを見つけたら止める。
本件のように揉める未来しか見えない。
チェックインの時に外国人の宿泊者にパスポートコピーを求める根拠は旅館業法施行規則です。
これの第4条の2の2項3号に次の規定があります。
3 法第六条第一項の厚生労働省令で定める事項は、宿泊者の氏名、住所及び連絡先のほか、次に掲げる事項とする。
・旅館業法施行規則(◆昭和23年07月24日厚生省令第28号)
一 宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号
二 その他都道府県知事が必要と認める事項
宿泊者名簿に国籍及び旅券番号を書くことになっておりますが、実際の運用として個人のお客様であればパスポートのコピーをとらせていただくし、団体のお客様であれば催行旅行会社や添乗員に、国籍・旅券番号が書かれた宿泊者リストを事前に提出してもらいます。
3. 旅券の写しの保存について
厚生労働省:旅館業法施行規則の改正について
今般の改正に伴う厚生労働省健康局長通知により、宿泊者名簿の記載の正確を期するため、国籍及び旅券番号を記載していただく宿泊者の方については、その方の旅券の写しの保存をお願いしておりますので、御理解と御協力をお願いいたします。
厚生労働省からも実務上の要請としてパスポートのコピー保管が求められております。
で、条文に「日本国内に住所を有しない外国人」とある以上は、パスポート情報を求めるか否かの基準は国籍ではなく住所であるので、日本国内の居住者であればパスポート情報を得る必要がありません。これが大前提であり、すべて。外国人ではない=日本国籍の方は対象外だし、日本国内に住所がある=日本の居住者も対象外。
住所を自署できない場合は?
自署できるかどうかは判断要件となりません。日本語が苦手で日本語では書けないケースもありますが、その場合はアルファベットで書いてもらえばいいし、口頭で内容を伺って、フロントスタッフが代筆すればいい。
住所が怪しい場合は?
怪しいかどうかはフロントスタッフの主観なので突っ込みません。「私は日本に住んでいます」ということなら、とりあえずそういうことです。ホテルスタッフは警察官でも裁判官でもありませんので、書かれた内容の真偽判定に踏み込まないのが吉。仮に虚偽の内容を書かれた場合、旅館業法違反となり、勾留・過料が課される可能性があります。
第十二条 第六条第二項の規定に違反して同条第一項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する。
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在留カードなどのコピーはとっていいの?
根拠法令がありません。同様に特別永住者証明書や運転免許証、健康保険証の提示義務もありません。本件にあるような通名などの通知義務などもありません。
とまあホテル関係者として見ても、本件の当該ホテルの対応には???としか言えないというところ。何をどう勘違いするとこういう対応になるのか摩訶不思議であります。……今まで問題にならなかったから、同じやり方続けてきたんだろうなあ。
ちなみに現役スタッフとしての運用ですが、チェックインしようとするお客様に対し、見た目だけで外国人であるかどうかを判定するのは非常に困難であるので、ギリギリまでパスポートのコピーをお願いしません、極端な話、日本語が話せないというだけでパスポートコピーが必要であるかの判定もしない。日本語が話せない国内居住者なんて山程いるので。
ではどの段階でパスポートコピーが必要かどうかを判定しているかというと、例えばこちらが何も言わずにパスポートを出してくる方は、慣れている旅行者の可能性が高いので大丈夫そうとか、お名前・住所・電話番号を記入をお願いした時に微妙な反応をしたら外国人かな?と思ったりとか、実際に住所を書いてもらって、明らかに日本ではない住所を書いた場合はお願いするとか、そういった感じであります。少なくても見た目だけでは判定しない。
こういった段取りでパスポートコピーをいただいても、住所を書いてもらったら日本の住所で、トラブル避けのために自分からパスポートを出してくる国内居住の外国人の方もいる。その場合はいただいたパスポートのコピーをお渡しし、ホテルとしてパスポートのコピーは必要ありませんとお話させていただくこともあります。必要以上の個人情報はいただけばいただくほどトラブルの種になるので、受け取らないのが無難なので。トラブル避けのためにパスポートコピーを取ってもらおうとする宿泊者もいれば、トラブル避けのためにパスポートコピーをお返しするホテルもあるというのが現場の実際であります。現場からは以上です。